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【2011年01月~2011年12月】日本語教育、ビザ等

非嫡出子(婚外子)の相続差別「違憲」(大阪高裁決定)
(参考資料:2011年10月04日、朝日新聞)

 民法900条(法定相続分)4号但書前段には、「嫡出でない子の相続分は、嫡出である子の相続分の2分の1と」する規定があります。今日まで、この規定が「法の下の平等」を定めた憲法14条1項に違反する旨の憲法違反の主張が数多くなされてきましたが、最高裁平成7年7月5日大法廷決定(判例時報1540号3頁)以降、「合憲」とされてきました。
 これに対し、大阪高裁平成23年8月24日決定は、民法900条4号但書前段の規定が憲法14条1項に違反するとして、非嫡出子に同等の相続を認めるという注目すべき判断を下しました。上記最高裁大法廷決定以降、高裁において「違憲」の判断が下されるのは初めてであり、大阪高裁の決定は、嫡出子ら相手側が特別抗告をしなかったため、確定しています。
 この事案の概要は、平成20年末に亡くなった大阪府の男性の遺産分割をめぐる裁判であり、非嫡出子1人と嫡出子3人の配分が争点となったものです。大阪家裁は上記民法の規定を「合憲」として相続分を決定しましたが、この決定を不服とする非嫡出子側が抗告したことを受けて、今回の大阪高裁の決定に至りました。
 赤西芳文裁判長は決定理由の中で、上記最高裁大法廷決定以降、家族生活や親子関係の実態が変化したこと、国民の意識も多様化していることを指摘しました。そして、改正(平成21年1月1日付)前の国籍法3条1項の準正要件部分に関する規定が憲法14条1項に違反する旨の最高裁平成20年6月4日大法廷判決にも触れました。その上で、相続が開始された平成20年末時点において、非嫡出子と嫡出子の区別を放置することは、立法の裁量の限界を超えていると結論付けました。
 なお、上記最高裁平成7年7月5日大法廷決定は以下の通り述べて、上記民法の規定を「合憲」と判断しました。
 「本件規定の立法理由は、法律上の配偶者との間に出生した嫡出子の立場を尊重するとともに、他方、被相続人の子である非嫡出子の立場にも配慮して、非嫡出子に嫡出子の2分の1の法定相続分を認めることにより、非嫡出子を保護しようとしたものであり、法律婚の尊重と非嫡出子の保護の調整を図ったものと解される。これを言い換えれば、民法が法律婚主義を採用している以上、法定相続分は婚姻関係にある配偶者とその子を優遇してこれを定めるが、他方、非嫡出子にも一定の法定相続分を認めてその保護を図ったものであると解される。現行民法は法律婚主義を採用しているのであるから、右のような本件規定の立法理由にも合理的な根拠があるというべきであり、本件規定が非嫡出子の法定相続分を嫡出子の2分の1としたことが、右立法理由との関連において著しく不合理であり、立法府に与えられた合理的な裁量判断の限界を超えたものということはできないのであって、本件規定は、合理的理由のない差別とはいえず、憲法14条1項に反するものとはいえない」。
 しかし、この判断に対して、裁判官5人(尾崎行信裁判官等)による反対意見が付されました。
 その後、最高裁平成12年1月27日第一小法廷判決最高裁平成15年3月28日第二小法廷判決最高裁平成15年3月31日第二小法廷判決最高裁平成16年10月14日第一小法廷判決最高裁平成21年9月30日第二小法廷決定は、上記平成7年大法廷決定を引用した合憲判断を繰り返しましたが、これらにも反対意見や補足意見が付されました。
 なお、最高裁平成21年9月30日第二小法廷決定(判例時報2064号61頁)に付された反対意見(今井功裁判官によるもの)は以下の通りです。非嫡出子に対する相続差別についての直近の反対意見なので、注目すべきものです。
 「法律婚の尊重という立法目的が合理的であるとしても、その立法目的からみて、相続分において嫡出子と非嫡出子との間に差を設けることに合理性があるであろうか。憲法24条2項は、相続において個人の尊厳を立法上の原則とすることを規定しているのであるが、子の出生について責任を有するのは被相続人であって、非嫡出子には何の責任もない。婚姻関係から出生するかそうでないかは、子が、自らの意思や努力によってはいかんともすることができない事柄である。このような事柄を理由として相続分において差別することは、個人の尊厳と相容れない。法律婚の尊重という立法目的と相続分の差別との間には、合理的な関連性は認められない」。
 「最高裁平成18年(行ツ)第135号同20年6月4日大法廷判決・民集62巻6号1367頁は、日本国籍の取得について定めた国籍法の規定について、同じく日本国民である父から認知された子であるにもかかわらず、準正子は国籍が取得できるのに、非準正子は国籍が取得できないとした当時の国籍法3条1項の規定を、合理的な理由のない差別であって憲法14条1項に違反すると判断したのであるが、このことは、本件のような相続分の差別についても妥当するといわなければならない」。
 「我が国における社会的、経済的環境の変化等に伴って、夫婦共同生活の在り方を含む家族生活や親子関係に関する意識も一様ではなくなってきており、今日では、出生数のうち非嫡出子の占める割合が増加するなど、家族生活や親子関係の実態も変化し、多様化してきていることを指摘しなければならない。また、ヨーロッパを始め多くの国においても、非嫡出子の相続分を嫡出子のそれと同等とする旨の立法がされている。我が国においても、後に述べるように、非嫡出子の相続分を嫡出子のそれと同等とする旨の民法の改正意見があり、平成8年には、法制審議会総会が、その旨の改正案要綱を決定し、法務大臣に答申したが、未だ改正が実現していないという状況にある」。
 「裁判所が違憲と判断した規定について、その規定によって権利を侵害され、その救済を求めている者に対し救済を与えるのは裁判所の責務であって、国会における立法が望ましいことを理由として違憲判断をしないことは相当でない」。
 「前記大法廷決定の当時は、改正要綱試案に基づく審議が法制審議会において行われており、改正が行われることが見込まれていた時期であった。ところが、法制審議会による上記答申以来十数年が経過したが、法律の改正は行われないまま現在に至っているのであり、もはや立法を待つことは許されない時期に至っているというべきである」。

外国人労働者に係るポイント評価・優遇制度
(参考資料:2011年06月12日、読売新聞)

 政府は外国人労働者について、「学歴」、「資格」、「職歴」・「年収」、「研究実績」など、分野の特性に応じて設定した所定の項目について、項目毎に点数化して評価し、一定点数に達した者を優遇するという制度を年内に導入する方針です。
 法務省は2010年3月に、『第4次出入国管理基本計画』を策定・公表しました。その中にある「高度人材に対するポイント制を活用した優遇制度の導入」(17頁)という項目において、以下の通り述べています。
 「特に高度の知識・技術等を有する高度人材は,我が国経済社会における新たな活力の創造,国際競争力の強化等に大きく寄与するものと考えられ,少子・高齢化に伴う人口減少社会の到来が本格化する中で,我が国が持続的な経済成長を成し遂げていくため,このような我が国社会に活力をもたらす高度人材の受入れを強力に推進していく必要がある」。
 「世界各国の人材獲得競争の対象となるような高度人材の受入れを促進するためには,高度人材にとって魅力のある雇用・労働環境や社会・生活環境の整備等がまずもって重要であり,政府全体でその整備に取り組む必要がある。出入国管理行政においては,その取組に併せ,高度人材の受入れを促進するための措置として,ポイント制を活用した高度人材に出入国管理上の優遇措置を講ずる制度の導入を検討していく」。
 「具体的には,イノベーションと高い付加価値のあるサービス等を生み出すなど,我が国が戦略的に受入れを促進していくべき人材,例えば,①研究者,科学者,大学教授等の『学術研究分野』の人材,②医師や弁護士,情報通信分野等の技術者など,高度な資格,専門知識,技術を有する『高度専門・技術分野』の人材,③企業の経営者や上級幹部などの『経営・管理分野』の人材等を対象として,『学歴』,『資格』,『職歴』,『研究実績』など,分野の特性に応じて設定した所定の項目について,項目毎にポイントを付け,ポイントが一定点数に達した者に対し,我が国への円滑な入国や安定的な在留を保障する様々な出入国管理上の優遇措置を講ずることとする」。
 法務省は詳細な評価基準を事前に公表して、客観的評価を100点満点で行う方針です。例えば、「経営・管理分野」では、「学歴」(配点35点)、「職歴」(15点)、「年収」(35点)、「企業での地位」(15点)を基礎配点とし、「日本語能力」、「就労企業」によってボーナス加点し、70点を合格ラインとする方向で調整しています。
 また、法務省は合格者の優遇策として、①永住許可要件の緩和(10年→3年ないし5年)、②最長「5年」の在留期間の付与(現在、最長「3年」)、③扶養している親の帯同の許可、④家事使用人の帯同の許可、⑤配偶者(在留資格「家族滞在」)の国内での労働時間制限の撤廃(現在、週28時間以内)などの案を検討しています。
 関連項目:「移民政策学会の2011年度年次大会に出席」

2010年の警察による偽装結婚摘発471人(前年比25.6%増)
(参考資料:2011年02月27日、日本経済新聞)

 警察庁によると、外国人による日本での中長期滞在可能な在留資格取得のための偽装結婚事件において、昨年全国の警察が摘発した人数は471人(前年比25.6%増)でした。
 在留外国人による犯罪では、身分系の在留資格「日本人の配偶者等」(出入国管理及び難民認定法上、活動範囲に制限はありません。)などを有する正規滞在者の摘発が増加しました。警察庁はこの在留資格の取得を狙った偽装結婚が犯罪につながる「インフラ」になっているとみて、近年摘発を積極化させています。
 警察による偽装結婚を理由とした摘発者の数については、統計を取り始めた2007年が375人、08年が416人、09年が375人でした。10年に摘発された者の国籍については、結婚の相手方や仲介者等になった日本人が269人、中国人が90人、フィリピン人が54人、韓国人が41人でした。
 なお、在留資格「日本人の配偶者等」を有する外国人が結婚後もホステス等の水商売を続ける場合、入国管理局は、その結婚を実体のある結婚ではなく、在留資格取得のための結婚ではないかと疑うでしょう。その結果、当該外国人による在留期間更新許可申請などに対して、不許可処分を下すこともあります。また、入国管理局は、当該外国人が配偶者の身分を有する者としての活動を継続して6月以上行わないで在留している場合、当該外国人が現に有する在留資格を取り消すこともできます。
 さらに、入国管理局に虚偽の申請や虚偽の証拠提出を行った場合、重大な犯罪(公正証書原本不実記載等【刑法157条】、偽造公文書行使等【同158条】、私文書偽造等【同159条】、偽造私文書等行使【同161条】)に該当することもあります。
 関連項目:国際結婚手続国際結婚を成立させる要件婚姻要件具備証明書入管法及び入管特例法の改正等

2010年の難民認定申請数1,202人(前年比186人減、ミャンマー人大幅減)
(参考資料:2011年02月27日、日本経済新聞)

 法務省入国管理局は、2010年の難民認定申請数等を発表しました。難民認定申請数は前年より186人少ない1,202人で、難民認定者数は前年より9人多い39人でした。
 ミャンマーでは2007年に軍事政権による反政府デモに対する武力弾圧(サフラン革命、日本人ジャーナリストの長井健司氏も射殺された事件)があり、その前後の年にはミャンマー人による難民認定申請数は急増しました。しかし、昨年は、前年より226人減り342人という結果でした。入国管理局はその理由として、現地の政情の安定を挙げています。
 申請者の主な国籍は、ミャンマー342人(前年比226人減)、スリランカ171人(同63人減)、トルコ126人(同32人増)、ネパール109人(前年に比べ倍以上に増加)、インド91人(32人増)となっています。
 難民と認定しなかったものの、人道的な理由を配慮し特に在留を認めた者(「人道配慮」)の数は、前年より138人少ない363人でした。この人道配慮数に認定者数39人を加えた数(庇護数)402人が、日本が実質的に庇護を与えた者の数です。また、庇護を与えた者のうちミャンマーが356人(前年比122人減)で全体の89%(前年とほぼ同じ割合)を占めました。
 関連項目:難民認定手続

2010年の訪日外国人数は過去最高の944万人(前年比24.6%増)
(参考資料:2011年01月15日、日本経済新聞)

 法務省入国管理局の集計(速報値)によると、2010年に日本に入国した外国人数は前年より24.6%(約186万人)増えて、過去最高の約944万人となりました。外国人入国者数の増加はリーマンショック以来、3年ぶりのことです。同局の担当者はその理由として、アジア地域の景気回復、中国人向け個人観光ビザ発行要件の大幅緩和を挙げています。
 外国人入国者を国・地域別にみると、最多は韓国の約269万人(前年比46.4%増)であり、地方空港を中心にチャーター便が増加して観光需要が高まった影響があるようです。以下、中国の166万人(同34.4%増)、台湾の約131万人(同22.9%増)、米国の約76万人(同4.0%増)と続きました。
 中国からの個人ビザによる月別の入国者数については、6月は約2,500人でしたが、日本政府が個人ビザ発行要件を大幅緩和した7月は約6,000人に急増しました。8月は約7,800人、9月は約6,200人と高水準をキープしました。しかし、昨年9月に発生した尖閣諸島沖の中国漁船衝突問題を契機として、中国各地で反日デモが活発になりました。この影響により、中国と香港からの入国者数は10月以降、前年比マイナスに転じました。11月は同12.2%減、12月は同6.9%減となりました。
 一方、外国に渡航する日本人の出国者数は前年比7.7%増の約1,664万人であり、4年ぶりの増加となりました。円高による海外旅行需要の増加、羽田空港の国際化、LCC(ロー・コスト・キャリア)の日本進出などが影響したようです。

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