
7月27日(火)、東京都行政書士会の国際部が主催する「平成22年度第1回及び第2回入管実務研修会」を受講しました。第1回の講師は、東京入国管理局調査第三部門統括入国警備官と東京入国管理局審判部門統括審査官の2名様でした。テーマは、『1.退去強制手続の概説、2.在留特別許可に関するガイドラインの運用状況等と仮放免許可について』でした。第2回の講師は、弁護士の大貫憲介先生(第二東京弁護士会所属)でした。テーマは、『外国人の入国・在留手続に係る最新の実務動向・関連する諸問題―限界事例における主張・立証のノウハウなど―』でした。当日5時間にわたり拝聴したことを今後の実務において有効活用していきます。
3月24日(水)、多言語行政書士協会が主催する研修会を受講しました。講師は、弁護士・清水聡先生(南青山法律事務所)と行政書士・中村和夫先生(千代田支部)でした。科目は、1.外国人絡みの刑事・民事・家事事件等の実状、2.弁護側通訳人や入管事件での、行政書士とのコラボレーション、3.行政書士、通訳人として、弁護士とのコラボレーション、4.質疑応答でした。
清水先生は、外国人事件における弁護士側から見た行政書士とのコラボレーションについて、中村先生は、行政書士兼通訳人側から見た弁護士とのコラボレーションについて、具体的な事例を挙げながら解説して下さいました。また、質疑応答の際、私が携わる、実刑判決後の入管・家事案件についても助言して下さいました。
清水先生は、科目2(行政書士とのコラボレーション)について、法律家であり、本国の文化・制度・習慣等に関する知識もある通訳人の重要性を指摘していました。特に、外国人の事情聴取に際して、法的なスクリーニングが必要であるとのことです。ただし、一見、重要でないと思われる事項が重要な場合もあるので、行政書士兼通訳人は注意しなければならないとのことです。
中村先生は、科目3(弁護士とのコラボレーション)について、①外国人絡みの刑事事件での流れ、②外国人絡みの家事調停での流れを詳しく解説して下さいました。
①では、まず、入管法違反で起訴される場合と起訴されずに入管に引き渡される場合、勾留中の弁護士接見と面会の違い、勾留中の面会と入管収容中の面会との違い、差入れ品等での違い、行政書士であるが故の守秘義務・刑事罰の意義を解説して下さいました。次に、正規旅券入国の不法滞在者、刑事事件被疑者、刑事事件被疑者・現行犯逮捕者、偽造旅券等入国の不法滞在者といったケース別に逮捕勾留以降の流れを実例を挙げつつ解説して下さいました。また、入管に引き渡される前から既に退去強制処分に関わる審査が実質始まっている点を強調されていました。
②では、離婚調停、子の親権・監護権に関わる調停、子への面会交渉権に関わる調停といったケース別に実例を挙げつつ解説して下さいました。また、以下の2点を強調されていました。「行政書士兼通訳人として、当該外国人に関わる現地の民法・家族法や習慣・文化等の違いによる要素を弁護人伝達することは重要です。そして、当該外国人の在留資格に影響を及ぼすこともあるので、入管法上の問題点を弁護人に適切に伝達することも不可欠です」。
2月27日(土)、東京都行政書士会の任意団体である未来飛翔塾が主催する研修会『最新外国人帰化手続』を受講しました。講師は、東京都行政書士会多摩中央支部の西憲治先生でした。研修項目は、1.帰化許可申請書の作成について、2.業務受託から報酬受領まで、3.行政書士として必要な知識と経験事例、4.韓国事情についての理解と行政書士業務の進展策でした。
大韓民国と朝鮮民主主義人民共和国に関する地理上・歴史上の留意点、東京法務局国籍課での手続の流れと注意点、申請者の本国や日本の役所(官公署等)から取り寄せる書類(特に韓国・朝鮮籍、中国籍)、帰化許可申請書・身分関係図・親族の概要・帰化の動機書・履歴書・宣誓書・生計の概要・在勤及び給与証明書・事業の概要・自宅付近の略図・駐日韓国大使館領事部に提出する顧客からの委任状の記載例などを解説して頂きました。
また、行政書士による帰化許可申請業務に係る留意点(帰化の有する意味合いの理解、日韓・日朝・日中等に関する歴史的背景の理解など)、帰化許可通知後に必要な手続も解説して頂きました。
「帰化許可の条件」、「帰化許可申請手続のプロセス」、「帰化許可申請に必要な書類」も合わせてご参照下さい。
2月25日(木)、多言語行政書士協会主催の研修会を受講しました。講師は、東京都杉並児童相談所所長・木全玲子先生、東京都世田谷児童相談所所長・和田芳子先生、東京都行政書士会千代田支部の中村和夫先生でした。
研修項目は、1.児童相談所の業務と関連する法律について、2.外国人の相談事例など、3.外国人未成年者絡みの入管事件及び家事事件に於ける行政書士実務並びに通訳人業務の概要でした。
1については、児童福祉の理念(児童福祉法第1条)、児童育成の責任(同法第2条)、都道府県の業務(同法第11条)、児童福祉司(同法第13条)、権限(同法第27条1項3号・保護者の承諾による施設入所、同法第27条7項・自立援助ホームへの委託、同法第28条・施設入所に保護者が不承諾の場合における家庭裁判所の入所承諾の申し立て、同法第29条・立入調査、同法第33条・一時保護、同法第33条の7・親権喪失宣告の申し立て)、児童虐待の防止等に関する法律(同法第8条の2・出頭要求、同法第9条・立入調査、同法第9条の2・再出頭要求、同法第9条の3・臨検及び捜索、同法第12条1項・保護者に対する施設入所児への面会及び通信制限、同法第12条の4・保護者に対する施設入所児へのつきまとい及びはいかい禁止)、児童相談の流れ、相談の種類などでした。
2については、外国人相談国籍別受理状況(保護者の国籍で多いのは、フィリピン、中国、韓国、タイなど)、年度別外国人の相談の推移(増加傾向)、直近に発生した外国人児童に係る具体的な事例などをお話し頂きました。
3については、主に、中村先生が受任した入管事件(日本人配偶者である外国人がオーバーステイの女性に産ませた子の在留資格取得、偽日系人一家が成績優秀であった長男によって一家全員が在留特別許可を受けたケース、日系二世とその他の外国人との大きな違い、元日本人配偶者が子の親権・監護権無しに在留資格の変更を認められたケース)でした。「入管法における日系人」もご参照下さい。
質問の時間には、私が受任中の児童相談所に絡む案件について、専門家の立場からお話を伺いました。
大変お忙しい中、貴重な時間を割いてご解説頂いたことに心より御礼申し上げます。
2月6日(土)、東京都行政書士会国際業務研究会が主催する「特別研修会」を受講しました。講師は北海道行政書士会札幌支部所属の滝沢俊行先生でした。テーマは『行政書士業務からみた改正国籍法』でした。
研修項目は『1.今、なぜ国籍法なのか、2.法務行政と国籍法、3.改正前国籍法、4.2008年6月4日・最高裁大法廷「違憲判決」の意義、5.改正国籍法第3条「届出」による国籍取得』でした。
1については、改正国籍法が2009年1月1日から施行され、第3条「届出」による国籍取得希望者が少なからず存在するため、行政書士の業務にも影響を及ぼすからです。戸籍法・渉外戸籍・国籍法・入管法等に係る一連の業務は、行政書士がこれまで長きに亘って専門的に携わってきた業務です。
4の「違憲判決」とは、「日本国民である父と日本国民でない母との間に出生した後に父から認知された子について、父母の婚姻により嫡出子たる身分を取得した(準正のあった)場合に限り日本国籍の取得を認めていることによって、認知されたにとどまる子と準正のあったこの間に日本国籍の取得に関する区別を生じさせていることは、憲法第14条第1項に違反する」というものです。この「違憲判決」を受けて、国籍法が改正されました。
5について、注意しなければならないことは、この届出により日本国籍を取得したとき、その時点で有していた外国国籍を喪失する場合があることです。また、届出の受付後、届出の取下は認められません。
改正国籍法第3条第1項による国籍取得に先立って行われる虚偽の認知届(民法第781条第1項、戸籍法第60条)や、改正国籍法第3条第1項による国籍取得届出後に行われる戸籍法第102条・国籍取得届により、戸籍に虚偽の記載をさせる行為については、改正国籍法第20条第1項・虚偽届出の罪と併合して、刑法第157条第1項・公正証書原本不実記載罪等が適用されます。
こうしたことから、行政書士がこれら一連の届出手続の相談・委任を受ける場合、市区町村役場・在日大使館・法務局・入管との対応を経ながら、外国人母及び子の身分状況を精査・整理していかねばなりません。つまり、渉外的な出生届・認知届・婚姻届など戸籍法に基づく手続に係る問題、入管法・外国人登録法に係る問題、外国人本人の本国法に係る問題などを丁寧に解決していくことになります。
特に、既婚外国人女性が夫以外の日本人男性との間に生まれた子について、夫の嫡出子の推定がなされ、夫以外の日本人男性による認知届が直ちにできない場合、家庭裁判所で「夫と子との間の親子関係不存在を確認する審判」を得る必要があるため、弁護士と連携していくことになります。
その他に『事例から見た国籍法』にて、「デヴィ夫人と国籍法第11条」、「ダルビッシュ投手と国籍法第14条」、「ペルー元大統領フジモリ氏と国籍法第16条」、「曽我ひとみさん夫婦の長女と国籍法付則第5条」なども解説して頂きました。
今後も、滝沢俊行先生から教えて頂いたことを生かつつ、戸籍法・渉外戸籍・国籍法・入管法・外国人本人の本国法等の関連法令に対して、実務的な視点から研究を継続していきます。
11月19日(木)、日本行政書士会連合会・中央研修所が主催する『韓国家族関係登録制度に関する研修会』を受講しました。講師は、駐大阪大韓民国総領事館領事・柳淵馨(リュウ ヨンヒョン)氏でした。
講義項目は以下の通りでした。Ⅰ.家族関係登録等に関する法律の制定経緯。Ⅱ.改正民法の家族制度関連主要内容(1.戸主制廃止及び家概念削除、2.父姓主義原則修正[民法第781条第1項]、3.子の姓と本を変更できる制度の導入[民法第781条第6項]、4.親養子制度導入[民法第908条の2ないし8]、5.同姓同本禁婚規定改正[民法第809条]、6.再婚禁止期間削除、7.離婚関連規定の改正[2008年6月19日施行])。Ⅲ.家族関係の登録等に関する法律の主要内容(1.家族関係登録事務の国家事務化及び大法院の管轄、2.戸籍を代替する個人別家族関係登録簿制度、3.家族関係登録簿の具体的構築方法、4.改正民法の具体的手続、5.家族関係登録事務方式の改善、6.国籍通報による家族関係登録簿作成)。Ⅳ.登録事項別証明書(1.家族関係証明書、2.基本証明書、3.婚姻関係証明書、4.入養関係証明書[養子縁組関係証明書]、5.親養子入養関係証明書[特別養子縁組関係証明書])。Ⅴ.登録事項別証明書の発給(1.本人等請求、2.代理人による請求、3.外国人による請求、4.外国人が委任状なしで請求できる場合、5.親養子入養関係証明書の特例)など。「韓国の新しい家族関係登録制度」をご参照下さい。
また、2009年11月20日から、駐日韓国大使館領事部(東京)、全ての駐日韓国総領事館(大阪・福岡・横浜・名古屋・札幌・仙台・新潟・広島・神戸)において、家族関係登録証明書等の交付申請について、行政書士が代理申請を行えることとなりました。ただし、現在、日本国内で証明書を発行できる機関は、韓国大使館領事部(東京)、大阪領事館、福岡領事館だけとなっており、他の領事館への申請は最寄りの発行機関に転送・処理されて時間を要するので、上記3カ所に直接又は郵送で申請することが望ましいようです。
11月10日(火)、東京都行政書士会が主催する『平成21年度第1回入管実務研修会』を受講しました。
1時限目は、東京入国管理局就労審査部門の統括審査官様による、在留資格審査業務(就労)についての講義でした。項目詳細は以下の通りでした。1.就労可能な主な在留資格の概要及びそれらの資格該当性・基準適合性、2.留学生の就職関係の申請手続等(卒業後継続して就職活動を行う場合の取り扱い、就職活動中就職先が内定した場合の取り扱い)、3.雇用状況悪化に伴う外国人の在留に関する取り扱い(雇用先企業から解雇又は雇い止めの通知を受けた場合の取り扱い、雇用先企業から待機を命ぜられた場合の取り扱い)。
なお、1については「就労可能な在留資格」、2については「留学生による就職活動」をご参照下さい。
2時限目は、東京入国管理局審査管理部門の統括審査官様による、1.改正入管法の概説及び関係規定整備の現況、2.提出資料の簡素化、3.新申請書使用上の留意点等についての講義でした。
なお、1については「入管法及び入管特例法の改正等(2009年7月15日公布)」をご参照下さい。
大変お忙しい中、私達行政書士のために、貴重な時間を割いて下さったことに心より御礼申し上げます。
9月29日(火)、東京都行政書士会豊島支部が主催する『米国の移民法とビザ申請手続の実際』を受講しました。題目は、①就労ビザと移民ビザの要件、②米国大使館での申請方法、③国務省と国土安全保障省、④オーバーステイ歴などのビザ取得への影響、⑤入国審査と上陸拒否、⑥全ての査証免除者に導入される新システムESTA、⑦【入管法】日米の比較とビジネスチャンスでした。講師は、米国弁護士(米国移民弁護士協会会員)であり、日本では外国法事務弁護士(東京第一弁護士会会員)の資格を持つ、マーカス・カズンズ先生でした。
カズンズ先生によると、「近年ますます増加する不法滞在者・就労者及びテロリストに対応するため、米国の移民政策は頻繁な移民法の改定により、複雑かつ制限的になってきましたが、適切な対応をとればビザの取得は難しくありません。ただし、ビザを確実に取得するには米国移民法を良く理解した上で、専門家に依頼することが成功への近道です」。
米国移民国籍法第214(b)条は、全ての非移民ビザ申請者を、米国外に戻る意思を示す住居があることを領事に十分証明できない限り、米国に永住したいという意思を持っている者であると仮定しています。自分の居住地へ戻らなければならない理由となる、家族との結び付き、社会的・経済的理由、又は雇用など、それぞれの立場での自分の居住地との結び付きを証明することにより、この仮定を覆すことができます。
9月25日(金)、2010年度・明治大学大学院・博士前期課程・法学研究科・公法学専攻(演習指導は下川環教授【行政法】)の入学試験に合格しました。来年の4月から、行政書士としての実務と大学院生としての研究を同時に進めていき、関連し合う双方の相乗効果を図っていくつもりです。2006年4月から2008年3月まで、立教大学大学院・修士課程・ビジネスデザイン研究科(演習指導は簗瀬允紀教授【ブランドマーケティング】)に在籍していました。当時、地方公務員として勤務しながら経営学の研究をしていましたが、2年ぶりに社会人大学院生として活動することになります。
大学院での研究テーマは、「日本における出入国管理政策及び外国人に関する基本的人権の保障―多文化共生社会の実現に向けた法整備―」(仮)です。出入国管理政策と外国人の社会参加を支援する社会統合政策について、欧米諸国の外国人政策と比較しつつ、日本の実情に合わせた法整備を研究していきたいと思っています。
また、憲法、行政法、刑法、労働法、国際法、教育法などの講義科目を通じて、行政書士の実務に必要な専門知識のレベルアップを図り、お客様のご期待に十分お応えできる行政手続の代理人又は代行人になる所存です。
8月1日(土)、東京都行政書士会国際業務研究会が主催する「実務者向け研修会」を受講しました。講師は元行政書士で、現在弁護士(第二東京弁護士会所属)の山脇康嗣先生でした。テーマは、『1.行政書士業務に活用できる入管判例分析その他弁護士から見た入管行政の現状、2.入管業務における弁護士からの注意点、3.入管業務における弁護士と行政書士の相違点及び今後の双方の協働作業の可能性』でした。
行政書士が司法手続に関与することはありませんが、司法手続が行政手続に反映している(入管は意識している)関係上、山脇先生による入管判例分析は大変参考になり、今後の実務に活かさせて頂きます。
入管判例分析の際、以下の事項について解説して頂きました。
『外国人が本邦に在留する権利、在留期間更新申請における法務大臣の裁量』、『一在留一在留資格の原則』、『在留外国人に付与された在留期間の更新を申請する権利が特定の在留期間を指定すべきことを申請する権利まで含むものであるか』、『再入国許可を受けずに本邦を出国したことによる協定永住資格の喪失、再入国許可処分取消しの訴えの利益』、『在留資格変更の許否の判断に当たって、起訴されたとの一事をもって不利益に扱うことは無罪推定の原則に反するか』、『1.再入国許可処分における法務大臣の裁量の範囲、2.再入国不許可処分を受けた者の本邦からの出国と不許可処分の取消しを求める訴えの利益』、『在留資格変更許可申請に対する不許可処分取消しの訴えの利益は、申請者が、再入国許可を得ずに本邦から出国することにより失われるか』、『1.在留期間の不更新通知の行政処分性、2.一在留一在留資格の原則、3.“技能”の在留資格該当性範囲』、『退去強制事由である“報酬を受ける活動を専ら行っていると明らかに認められる者”の意義』、『“日本人の配偶者等”の在留資格該当性』、『本体配偶者が在留資格を喪失等した場合の従属配偶者の在留資格への影響』、『1.在留特別許可の判断枠組み、2.日本人男性と結婚し、当該夫との間の実子3人を有する外国人女性が、不法残留に加え、2度の薬物有罪判決(2度目は実刑判決)を受けていたにもかかわらず、在留特別許可が認められた事案』、『執行停止の申立てが、退去強制令書に基づく収容部分の執行も含め、認容された事例』、『1.在留期間更新不許可処分取消訴訟と退去強制令書発布処分取消訴訟の併合提起の可否、2.在留期間更新不許可処分の執行停止を求める利益の存否、3.退去強制令書が発布されている場合における在留期間更新不許可処分の執行停止につき、“回復困難な損害を避けるための緊急の必要性がある”か否か』、『1.在留特別許可の申請権の有無、2.在留特別許可の義務付け訴訟の訴訟要件』、『外国人が不法上陸及び不法滞在していることについて、当該外国人自身には責めるべき点がない場合の在留特別許可の判断のあり方』、『再審情願の法的性質及び再審情願における法務大臣等の裁量、2.義務付け訴訟の訴訟要件』、『口頭審理を放棄した場合における在留特別許可の余地及び在留特別許可の義務付けの訴え(非申請型)を提起することの可否』など。
6月20日(土)、東京都行政書士会国際業務研究会が主催する「実務者向け研修会」を受講しました。テーマは、『入管法改正と今後の入管行政の動向について』でした。講師は元東京入国管理局就労審査部門首席審査官で、元入国者収容所東日本入国管理センター次長の大山侃二先生でした。以下の入管法改正点について、現在の法案協議の状況を踏まえて、詳細に解説して頂きました。なお、大幅に入管法が改正されるのは、1990年以来20年ぶりです。
1.新たな在留管理制度の導入に係る措置、2.外国人研修制度の見直しに係る措置、3.在留資格「留学」と「就学」の一本化に係る措置、4.入国者収容所等視察委員会の設置、5.拷問禁止条約等の送還禁止規定の明文化、6.在留期間更新申請等をした者の在留期間の特例に係る措置、7.上陸拒否の特例に係る措置、8.乗員上陸の許可を受けた者の乗員手帳等の携帯・提示義務に係る措置、9.不法就労助長行為等に的確に対処するための退去強制事由等の整備に係る措置。法案成立後、1の措置は公布の日から起算して3年以内の政令で定める日、2~4・6・7・9の措置は同1年以内の政令で定める日、5の措置は公布の日、8の措置は同6月以内の政令で定める日に施行されます。
1については、法務大臣が必要な情報を継続的に把握する制度を構築するための措置が行われます。法務大臣は在留資格をもって日本に中長期間在留する外国人に、基本的身分事項、在留資格・在留期間等を記載した在留カードを交付します。対象外国人は、上陸後に定めた住居地を、一定期間内に当該住居地の市町村長を経由して法務大臣に届け、また、受入先や身分関係に変更があった場合、法務大臣に届けねばなりません。
そして、法務大臣は、必要がある場合、届出事項について事実の調査をすることができます。虚偽の住居地を届け出たことや、配偶者の身分を有する者としての活動を6月以上行わないで在留していること等を取消事由に追加し、在留資格の取消手続における書面の送達に関する規定の整備を行います。さらに、在留カード偽造行為等について罰則・退去強制事由を整備するとともに、不法就労活動に対する罰則を整備します。
また、適法に在留する外国人の利便性を向上させるための措置として、在留期間の上限を5年に引き上げ、有効な旅券及び在留カードを所持する外国人は、1年以内の出国については再入国許可が不要となります。長期出国の場合、再入国許可が必要ですが、許可の有効期間は5年に伸長されます。なお、外国人登録法は廃止されます。
さらに、特別永住者に係る措置として、法務大臣は、特別永住者という法的地位の証明書である特別永住者証明書を交付します。特別永住者は2年以内の出国については再入国許可が不要となり、長期出国の場合、再入国許可の有効期限は6年に伸長されます。
2については、研修生・技能実習生を実質的に低賃金労働者として扱うなど、不適正な受入れが増加している現状に対処し、彼らの保護の強化を図るため、所要の措置が行われます。
在留資格「就労研修」が創設され、その活動内容は、「講習による知識修得活動」及び「雇用契約に基づく技能等修得活動(労働基準法、最低賃金法等の労働関係法令が適用されます)」です。講習の期間は全体の6分の1以上の期間(海外で160時間以上の事前講習を受けた場合、全体の12分の1以上の期間)、講習の内容は日本語、関係法令・修得技能に関する知識等です。就労研修の実施が認められる企業は、現行の在留資格「研修」と同じです。
また、在留資格「技能実習」が創設され、その活動内容は、就労研修に従事し、技能検定基礎2級等に合格した者が行う雇用契約に基づく技能実習活動です。技能実習期間は、「就労研修」の期間と合わせて最長3年です。技能実習の実施が認められる企業は、原則就労研修を行った企業です。
そして、不正な研修・技能実習活動のあっせん等を行った者は退去強制事由に追加されます。
6については、以下の規定が設けられます。在留期間満了の日までに申請した場合、申請に対する処分が在留期間満了までにされないとき、当該外国人はその期間満了後も、当該処分がされる日又は従前の在留期間満了の日から2月を経過する日のいずれか早い日まで、引き続き当該在留資格をもって日本に在留することができます。
7については、以下の規定が設けられます。上陸拒否事由に該当する特定の事由がある場合であっても、法務大臣が相当と認めるときは、上陸を拒否しないことができます。例えば、不法残留によって退去強制された外国人が日本人と婚姻し、かつその日本人が当該外国人の本国を何度も訪問したなど婚姻の実体がある場合、上陸拒否期間中(5年又は10年)であっても上陸特別許可が認められ、在留資格「日本人の配偶者等」が与えられることがあります。このような外国人は、その後の再入国の際、上陸を拒否されません。
「入管法及び入管特例法の改正等(2009年7月15日公布)」をご参照下さい。
研修項目は、1.ケース別永住解析(9つのケースとその他注意点)、2.改正国籍法と告示外定住(告示定住:連れ子・日系、告示外:離婚・日本人の母)のケース(4つのケース)、3.日本人の配偶者等(3つのケース)、4.ここ1年の案件から役立つ情報(6つの情報)でした。さらに、家事使用人の雇用主係る要件の運用、大学等を卒業した留学生が行う就職活動の取扱い、在留資格の変更・在留期間の更新許可のガイドラインについても解説して頂きました。
当ホームページ内にある、「永住許可」、「在留許可のガイドライン(改正)」、「留学生による就職活動」、「国籍法改正」なども合わせてご覧下さい。





