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退去強制(強制送還)と出国命令の違い

 退去強制とは、不法滞在者を強制的に国外に退去させる行政処分です。原則として、収容施設に拘束されます。日本への上陸拒否期間は、5年(退去強制歴等のない場合)又は10年(退去強制歴等のある場合)です。出国の際は強制送還の扱いです。
 強制的にでも退去させるべき者とは、出入国在留管理制度に違反する者、反社会性が強いと認められる者、国家的秩序を害する者、日本の利益又は公安を害する者などです。入管法第24条各号に、退去強制事由として、具体的に記載してあります。
 外国人が退去強制事由に該当するか否かは、入国警備官による違反調査入国審査官による違反審査特別審理官による口頭審理法務大臣による裁決という慎重な過程を経て決定されます。また、代理人の選任証拠の提出証人の尋問など外国人の権利保護に配慮した審査手続が行われます。
 以下のとき、主任審査官により退去強制令書が発付され、当該外国人は、送還手続を経て日本以外の地域に送還されることになります。本国に送還されるのが原則です。①容疑者が入国審査官の認定に服したとき(第47条第5項)、②容疑者が特別審理官の判定に服したとき(第48条第9項)、③法務大臣から「異議の申し出に理由がない」と裁決した旨の通知を受けたとき(第49条第6項)。
 なお、退去強制事由(入管法第24条各号)の概要は以下の通りです。①不法入国者(第1号)、②不法上陸者(第2号)、③在留資格を取り消された者(第2号の2)、④不法残留者(第2号の3、第4号ロ、第6号、第6号の2、第7号、第8号)、⑤偽変造文書を作成・提供等した者(第3号)、⑥外国人テロリスト(第3号の2)、⑦国際約束により入国を防止すべき者(第3号の3)、⑧資格外活動違反者(第4号イ)、⑨人身取引等加害者(第4号ハ)、⑩刑罰法令違反者(第4号ニからリまで、第4号の2)、⑪売春等従事者(第4号ヌ)、⑫不法入国・不法上陸幇助者(第4号ル)、⑬国際競技等に関連して暴行等を行った者(第4号の3)、⑭仮上陸許可条件違反者(第5号)、⑮退去命令違反者(第5号の2)、⑯出国命令を取り消された者(第9号)、⑰難民認定を取り消された者(第10号)、⑱暴力主義的破壊活動者(第4号オ、ワ、カ)、⑲利益公安条項該当者(第4号ヨ)。

 出国命令とは、自主的に出頭してきた不法残留者を出国させる制度です。収容施設に拘束されることはありません。日本への上陸拒否期間1年であり、大幅な期間短縮になります。出国の際は、正規在留者と同じ扱いです。
 出国命令対象者とは、初めてオーバーステイ(不法残留)した者で、帰国するために出入国在留管理局に自主的に出頭してきた者です。したがって、不法残留が複数回あった場合や、警察あるいは入管職員に逮捕された場合、退去強制手続がとられてしまい、出国命令制度は適用されません。また、入国後に窃盗罪等の罪により懲役又は禁錮の判決を受けていないこと、過去に退去強制(強制送還)や出国命令を受けたことがないこと、速やかな日本からの出国が確実なことなどが条件となっています。

【参考文献】
・出入国管理法令研究会編著『改訂3版 入管法Q&A』、三協法規、2008年

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