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関連し合う改正後の入管法、住民基本台帳法、雇用対策法

1.改正入管法(2009年7月、第171回通常国会にて可決成立)の意義

①自民・公明連立政権の下、在留管理制度の改善を可能な限り進めた改正です。
②外国人登録法を廃止し、外国人台帳を住民基本台帳に統合します。
③外国人技能実習制度については、1年目の実務研修を伴う研修にも労働関係法令を適用します。

2.入管法・住民基本台帳法・雇用対策法の改正に至る経緯

(1)解決を必要とする問題
①外国人登録法による外国人住民登録データの正確性の改善
 外国人登録法に住民基本台帳法ほどの規定(転出届、調査権限、職権修正等)はありませんでした。
 普通徴収の地方税の納付率が低いという状況にありました。
 外国人登録証明書が不法滞在者(不法入国者+不法残留者)にも交付されていました。
 不法滞在者の外国人登録証明書に「在留の資格なし」と記載され、事業主にとって分かりにくいものでした。
 ただし、不法滞在者が自治体から最小限の行政サービスを享受できる面(外国人児童への就学案内等)もありました。
②外国人を雇用する機関に在留資格の確認義務がありませんでした。
 入管による外国人の現在の就労場所の特定・就労条件が適正か否かの確認ができませんでした。
 入管は、在留期間更新や在留資格変更の許可申請があったとき、事後的にそのことを調査しました。
 外国人雇用企業の多くは、雇用期間を短くし、在留期間更新を繰り返し、労働・社会保険への加入を逃れていました。
 そのため、外国人の社会保険加入率が著しく低い状況でした。
 *2007年に改正された雇用対策法は、外国人雇用状況届を事業主に義務付けています。
③労働基準法上の労働者として扱われない外国人研修生(繊維、水産加工、農業、自動車産業等の分野)
 低賃金労働が強要され、人身売買も行われ、入管が不正行為と認定した受入団体の数が増加しました。
(2)問題の解決に向けて
①規制改革会議は、法務省と総務省の協力の下、外国人台帳制度の創設を要求しました。
 総務省は、内閣法制局の強い指摘後、住民基本台帳法の改正による外国人台帳を創設する方向に転換しました。
 法務省は、外国人登録証明書を廃止し、在留カードを発行することにしました。
 【居住関係の把握】市町村自治体経由方式で市町村が住民基本台帳に記載することになりました。
②2007年に改正された雇用対策法(法務省と厚生労働省の協力関係明記)
 事業主による外国人雇用状況届のハローワークへの提出義務付け(同法28条)
 厚生労働省から入管への情報提供(同法29条)
③法務省の法案(外国人研修・技能実習制度をめぐる不正行為事件の多発を受けて)
 実務研修を伴う研修に労働関係法令を適用する措置
 出入国管理に関する規制緩和:在留期限の延長(3年→5年)、再入国許可の簡素化等

3.入管法・住民基本台帳法・雇用対策法の主な内容

(1)確認すべき重要な点
①改正入管法と改正住民基本台帳法はセットであること
②改正入管法は2007年に成立した改正雇用対策法と深く関連していること
③在留資格更新・変更に関するガイドライン、研修・技能実習制度の運営適正化措置等と併せて機能するものであること
(2)入管法と雇用対策法の主な改正内容
①外国人登録法・外国人登録証明書を廃止し、中長期滞在者に在留カードを発行します(入管法19条の3)。
②氏名・住所・国籍・在留資格・就労制限の有無などの必要な情報が記載されます(同19条の4)。
③住居変更などの手続については、住民基本台帳法に基づき、市町村へ届出をします(同19条の9)。
④永住者でも7年毎に更新手続が必要となります(同19条の5)。
 常時携帯義務・提示義務があります(同23条2項・3項)。違反すれば刑事罰を受けます(同75条の2、75条の3)。
⑤特別永住者に対して特別永住者証明書を交付します(入管特例法7条)。
 7年毎に更新手続が必要となります(同9条)。
 常時携帯義務はありませんが、提示義務はあります(同17条2項)。違反すれば刑事罰を受けます(同31条4号)。
⑥外国人受入れ機関に、地方入管への報告の努力義務が課されました(入管法19条の17)。
⑦在留資格取消制度(同22条の4)
 「配偶者としての身分を有する者としての活動」を6カ月以上行っていない場合等
 ただし、正当な理由がある場合は除かれます。正当な理由は入管の裁量に委ねられています。
⑧在留期間上限の延長(3年→5年)(同2条の2第3項)
⑨みなし再入国許可の導入(同26条の2)
⑩在留資格「留学」に一本化(入管別表第一の四)
⑪在留資格「技能実習」の新設、労働関係法令の適用(入管別表第一の二)
 1年目の研修に実務研修が含まれる場合は、雇用契約を締結した後、在留資格「技能実習(1)」を適用します。
 2年目以降に技能実習に移行した場合は、雇用契約を締結した後、在留資格「技能実習(2)」を適用します。
⑫改正雇用対策法28条、29条(2007年10月施行)
 2008年10月以降、厚生労働省から法務省に、概ね毎月1回ずつ情報の提供があるようです。
 雇用状況届の実施方法は、「外国人雇用・労働条件指針」の中で手続が定められています。
(3)住民基本台帳法の主な改正内容
①合法滞在者については、住民票に、氏名・住所・国籍・在留資格・在留期間等が記載されます(住基30条の45)。
②中長期滞在者等が国外から転入した場合の規定(同30条の46)
③外国人住民の世帯主との続柄に変更があった場合の規定(同30条の48)
④法務大臣が外国人住民に係る住民票の記載事項等の変更又は誤りを知ったときの規定(同30条の50)
⑤日本人と同様に、転居届、転出届が義務化されます(同23条、24条)。
⑥外国人にも住民基本台帳カードが発行されます(同30条の44)。
⑦「在留の資格なし」で登録されている外国人については、法施行に伴い住民基本台帳に仮登録されます。
 ただし、5年経過後に合法的な在留資格を有しない場合は削除されます。
 こうした方に対しても継続的に行政上の便益を受けられるよう検討され、必要な措置が講じられます(住基附則23条)。


【参考文献】

・井口泰「改正入管法・住基法と外国人政策の展望」有斐閣『ジュリスト(№1386)2009.10.1』79~84頁

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